Tuesday, September 16, 2014

tristesse

かなしみがやってくる瞬間は不意すぎる

つぎの一歩で

地面は急に硬さを失う

あ

あたらしい店ができた
家に帰ったら教えよう
とおもうとき


もちあげた腕の

力が失われる
もう使わないカップに指が触れたとき


ふりかえって

話しかけようとしたとき


テレビを見て笑っている声を

数えてしまったとき


もう

なにもない空間に向かって
話しかけたりしない

その声が


通じてない

のが

いつのころからか

はっきりわかるようになった
気がするもの


どこからも

見ていてはくれない
語りかけられることもない
まして
触れられることはない
わたしが

失ったのはかんぜんな事実でほんとうで

まったくまるっきり
こんりんざい
永遠にということは永遠に
失ったんだと

なんども納得しながらなんどもあたらしく思い出すたびに

あしもとから力が抜ける

この脱力のことでしょう

かなしみとは。


                     Hurt/Johnny Cash