例えば明け方まだ夢の中にいるとき、なにかしなければいけないことがあって、起きた時も瞬間まだそのなにかを遂行しようとしている。そして、やや遅れて、それは「夢」という「別の世界」のことだった、と気づく。「現実」界ではなく「夢」界のことだから、放念してもいいのだ、と思う。
死ぬということも、そういうことかも、しれない。
夢の中とはいえ、懸命だった。計画し、実行し、気を配り、積み上げてきた。感じた。出会った。あの通じた気持ち。持ち物。決して忘れないと胸に刻んだ記憶。
それが、目覚めることによってすべて唐突に意味を失い、「なかったこと」に後退して一瞬に流れ去る。
「死んだ」瞬間、とおなじように。
それまでの進行のすべてが、行き場をなくし、手放してもいいものに変わってしまう。
虚しいことでもあるけれど、心配も、失敗も、背中まで迫っていた追手も、同様にすべてちゃらになる。足元がなくなるような、やぶれかぶれの安堵感。
そしてまた、夜がくると、わたしたちは懲りもせず別の人生に船出して、朝、あっさりとその世界を捨てる。
生から死に切り換わるのに一番似ているのは夢から目覚めること。
毎朝、わたしたちは死んでいるようなものだ。
Sha Zi Cai Bei Shang/Pu Shu
Wednesday, July 29, 2015
Tuesday, July 7, 2015
fête des étoiles
夢の中のあの人は寂しそうにしている
わたしはその寂しさのわけを知らない
寂しいはずではない場面の気がする
寂しい理由がわからない
だからちょっとこわくて
わたしはいつもはしゃいでいる
あの人はそれを止めないし
言い争うことはしないで
わたしの陽気につきあってくれるけれど
寂しい理由は言わず
寂しそうなままだ
なんだー
本当に死んじゃったかと思ったよー
あのさー 死亡届とかさ
取り消したりできるのかしら
取り消してもらわなきゃ ねえ?
近所の人たちびっくりするよね
まあいいよねそんなこと
また一緒に暮らせるのに
こうして横にいるのに
これから手続きとかいっぱいして
また仕事とかしなきゃいけないのに
なぜそんなに
不釣り合いな寂しい顔をしているのだろう
しばらく死んでたから,まだ力が出ないのかな
やることがたくさんある
また一緒に暮らせるのに
こうして横にいるのに
これから手続きとかいっぱいして
また仕事とかしなきゃいけないのに
なぜそんなに
不釣り合いな寂しい顔をしているのだろう
しばらく死んでたから,まだ力が出ないのかな
やることがたくさんある
さあ頑張らなくては
と思うのに
わたしはまた目を覚ます
と思うのに
あの人は寂しそうなまま
わたしは陽気なまま
いつしか夢は終わって
わたしは陽気なまま
いつしか夢は終わって
一つ命の数の合わない世界に
make this go on forever/snow patrol
Monday, July 6, 2015
what i have lost
先に立って不機嫌に歩いていく背中を
思い出し笑いを
挙げられた右手を
ただいまの声を
靴下を脱ぐさまを
髪から滴る水を
忙しなくゴシゴシとタオルで髪を拭くしぐさを
ほかほかと茹で上がった肌を
そこにぽつんとある濃いピンクのにきびを
肩にかけられたタオルを
石鹸の匂いを
猫背のままテレビを見つめる背中の曲線を
思い出す白く明るい昼下がり
神様に嫉妬されて
取り上げられる価値もなさそうな
そんな小さな平凡な
些細な場面ばかり思い出す
返して欲しいのは金の斧ではありません
銀の斧でもありません
お持ちになっていてもつまらないものですので
返していただけないでしょうか
Craigie Hill/Cara Dillon
思い出し笑いを
挙げられた右手を
ただいまの声を
靴下を脱ぐさまを
髪から滴る水を
忙しなくゴシゴシとタオルで髪を拭くしぐさを
ほかほかと茹で上がった肌を
そこにぽつんとある濃いピンクのにきびを
肩にかけられたタオルを
石鹸の匂いを
猫背のままテレビを見つめる背中の曲線を
思い出す白く明るい昼下がり
神様に嫉妬されて
取り上げられる価値もなさそうな
そんな小さな平凡な
些細な場面ばかり思い出す
返して欲しいのは金の斧ではありません
銀の斧でもありません
お持ちになっていてもつまらないものですので
返していただけないでしょうか
Craigie Hill/Cara Dillon
Subscribe to:
Posts (Atom)